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「税務調査と税理士の権利」(納税者権利憲章考) 

 
                     財団法人 
大蔵財務協会刊

 

 回顧すれば税務官庁に在職した時に税務調査を経験し、税理士になってからその立会いを経験しましたが、何か漠然とした気持ちでそれらを行ってきたような気がします。

 しかし、税務調査は、税務官公署の当該職員が調査の必要性に基づいて行う公権力の行使です。これに対して税理士の立会いは、不当な公権力の行使から顧問先を守る専門家としての権利の行使です。

 この権利行使の衝突に係る適正な解決点は、どこにあるのかを考え「税務調査と税理士の権利」という標題でまとめてみました。

 税務官吏の税務調査又税理士は税務の専門家と言われています。しかし、税務という用語についての公的な見解は公表されていません。

 そこで、私は「税務」について「税法の実務」と解して記述を進めました。次に「税務調査」についても、公式な見解が見当たらないことから「税務調査とは、税務に関し権限のある税務官公署の当該職員が、命を受けて納税義務者等に対して行う確認行為としての質問と検査である」と観念して記述を始めました。こうした、実務としての二つのことを観念したことにより税務調査と税理士の権利が、やや判然としたような感がしました。

 そこで、これらを土台として、第1章では「税務調査について考える」、第2章では「税理士の権利を考える」、第3章では「税務調査と税理士の権利」について述べてみました。

 そして、文章には主旨を述べ、細部については図表でまとめ、それに注解を添え、系統的に、かつ、細部まで実務に反映できるようにしたつもりです。

 この記述で両者の適正な解決点が打ち出せたのかの点については、じくじたるものがありますが、これが出発点となれば幸いだと思っています。

   平成22年4月    

              税理士法人右山事務所  税理士 右山昌一郎

 

 右山 昌一郎 (みぎやま しょういちろう)

昭和5年

熊本県生まれ

昭和31年

明治大学商学部卒

現 在

税理士法人右山事務所社員・相談役、法学博士

東京国税局、国税庁、大蔵省を経て昭和42年右山税務会計事務所を設立。その後、平成14年に税理士法人を設立し、所長となる。企業の税務・会計を指導するとともに、大学講師・助教授として教壇に立った。政府等の諮問機関である中小企業財産承継問題研究会のメンバー、税制審議会専門委員長、日本税務研究センター租税法事例研究会研究委員、通産省事業承継税制研究会委員、日本税務会計学会学会長、日本税理士会連合会「日税研究賞」選考委員を歴任。現在、税務会計研究学会理事兼運営委員、日本税法学会理事兼研究委員、日本税務会計学会顧問。

【主な著書】

【共著】

  税務を生かす契約書式・基本規程全集(全3巻)
  (昭和59年・日税研究奨励賞受賞)(ぎょうせい)
 ・ 所得税がわかる本(日本実業出版社)
 ・ 図解 体系消費税法(ぎょうせい)
 ・ Japanese Corporation Tax ’83PMC出版)
 ・ 税理士法人制度のすべて(中央経済社)
 ・ 中小会社に係る計算書類の公開(大蔵財務協会)
 ・ 相続に必要な知識(大蔵財務協会)
 ・ 物納・延納制度 大改正のすべて(大蔵財務協会)
 ・ 種類株式の活用と税務(大蔵財務協会)
 ・ 判例・事例から見た 検証 交際費課税(大蔵財務協会)

 ・ 相続法と相続税法(ぎょうせい)
 ・ 税理士実務質疑応答集(ぎょうせい)
 ・ 必要経費判断の手引(新日本法規)
 ・ 企業再編の税務と法務(中央経済社)
 ・ 税務調査に備えろ! (大蔵財務協会)
 ・ Q&A 税務における期間・期日・期限(新日本法規)
 ・ 法人税申告書の書き方と留意点(中央経済社)
 ・ 会計参与制度と実務のポイント(新日本法規)
 ・ 会社法に基づく剰余金の配当(ぎょうせい)
 ・ 中小企業会計指針に基づく「確定決算」と「税務調整」
  (ぎょうせい)
 ・ 税理士が図解式で書いた「事業承継のしくみ」
  (中央経済社)
 ・ 新事業承継税制のすべて(大蔵財務協会)
 ・ 事業承継対策の法務と税務(新日本法規)